フューショットラーニング(Few-Shot Learning、FSL)とは、少数のトレーニングサンプルから新しいタスクを学習できる機械学習の手法を指します。従来の機械学習やディープラーニングは、大量のデータを必要とするのに対し、フューショットラーニングは非常に少ないデータ(数ショット、つまり数枚の画像や数個のデータポイント)でも効果的に学習を行うことが目的です。
主な特徴と技術
- メタラーニング(Meta-Learning):
- モデルが新しいタスクを迅速に学習する能力を持つように訓練されます。メタラーニングは「学習の学習」とも呼ばれ、モデルが少量のデータから学ぶ方法を学習するプロセスです。
- プロトタイプネットワーク(Prototypical Networks):
- 各クラスのプロトタイプ(代表的なベクトル)を計算し、新しいデータポイントがどのクラスに属するかを距離ベースで判断します。
- シアミーズネットワーク(Siamese Networks):
- 同じネットワークを二つ用意し、ペアでデータポイントを入力し、それらの類似性を計算します。これにより、新しいデータが既知のクラスにどれだけ似ているかを評価します。
- メモリアグメントネットワーク(Memory-Augmented Neural Networks, MANN):
- 外部メモリを利用して、少数の例から学習を行い、その後の予測に役立てます。
- データ拡張と正則化:
- 少数のトレーニングデータを補うために、データ拡張技術(画像の回転や反転など)や正則化手法が用いられます。
応用例
- 画像認識: 新しいクラスの画像を少数の例から学習し、分類する。
- 自然言語処理: 少数の例から新しい言語タスク(例えば、新しい意図の理解や新しいカテゴリの分類)を学習する。
- ロボティクス: ロボットが少数のデモンストレーションから新しいタスクを学習する。
フューショットラーニングは、データ収集が難しい状況や、新しいタスクに迅速に適応する必要がある応用分野で特に有用です。この技術の進歩により、より少ないデータで高精度なモデルを構築することが可能になりつつあります。